毎月、つらい「頭痛」を繰り返します
せんねん灸セルフケアサポーターのもとには、さまざまな症状をお持ちの患者さまがいらっしゃいます。
■ 今日の症状
今日の症状は「頭痛」です。
■ 問診-1
毎月、激しい「頭痛」が起きるのでとても困っていらっしゃいます。
頭痛が起きる部位は決まって左側頭部です。
病院を受診して、画像検査もお受けになられたそうですが、とくに問題はないと言われました。
■ 身体観察
頭部を触診させていただくと「頭痛」が起きる部位がコブのようにかたくなっています。
指圧するとズキッとする痛みを感じるようです。
左足くびの骨にズレが見られ、立ったとき、歩いたときに不安定な状態が見られます。
■ 触診
「頭痛」が起きる、コブのようにかたい部位がやわらかくなるポイントを探します。
体の左側(頭―くび―肩・肩甲骨―背中―臀部―太もも―ひざ裏―ふくらはぎ―足裏)に筋肉の緊張、張りが目立ちます。
■ 問診-2
左足くびにトラブルの経験がなかったかを確認しました。
➡子どもの頃から左足くびのねん挫を繰り返してきたそうです。
■ 触診-2
左の外くるぶしとその周辺に触れると、「頭痛」が起きる部位のコブのようなかたさがやわらぎます。
左の外くるぶしに目で見てわかる「へこみ」があります。
外くるぶしには足くびを安定させるために3つの靭帯(じんたい)があります。
3つの靭帯のうち「前距腓靭帯(ぜんきょひじんたい)」が傷んでいます。
■ 施灸
左の外くるぶしにある「へこみ」へ施灸します。
わずかな「へこみ」ではなく、かなり深い「へこみ」ですので、「点灸(てんきゅう)」をします。
30壮(そう)を超えてお灸をすえても温かさすら感じません。
※お灸をすえて治療を施すことを「施灸(せきゅう)」と言います。
※「点灸(てんきゅう)」は「もぐさ」を指先でつまみ、ツボへ立て、お線香で火をつけてお灸をする方法です。
※治療では火傷を起こさないよう、ツボにシートを貼り、その上から「点灸」をします。
※標準的な「へこみ」ですと、「点灸」は10壮(そう)ほどで熱を感じるようになります。
※「点灸(てんきゅう)」のもぐさの大きさは「糸〜ゴマつぶ〜米つぶ」の大きさにしてツボへすえます。
※「もぐさ」をツボへすえる回数を「壮(そう)」と言います。
■ お灸によるカラダの変化
体全体のバランスを整えるために、何箇所かへお灸をすえましたが、この左くるぶしのツボへお灸をすえると「頭痛」が起きる部位のコブが大変やわらかくなりました。
■ 今日のツボ
外踝尖(がいかせん)
一般的には外くるぶしの先端とされています。
今回は先端のすぐ脇にある「へこみ」へお灸をすえました。
■ 頭痛の原因
1)子どもの頃から左足くびのねん挫を繰り返してきたことで、外くるぶしの靭帯を傷めた。
2)左足首が不安定になり、左右の足の着き方、立ち方、歩き方のバランスをくずした。
3)体の左側(頭―くび―肩・肩甲骨―背中―臀部―太もも―ひざ裏―ふくらはぎ―足裏)がつねに緊張、張っている。
4)左側頭部にコブのようなコリができ、カラダがむくむとコリが血管神経を圧迫して「ズキズキする痛み」が起きる。
■ 今回のポイント
手や足に打撲やねん挫、骨折、突き指、肉離れなどの「ケガ」をすると、組織が傷みます。
「ケガ」をしたときは炎症が起き熱を帯びますが、時間の経過とともに「冷え」てきます。
「ケガ」の治癒によって「冷え」が起き、この「冷え」が原因となってカラダ全体のバランスをくずし体調不良となっていることが多く見られます。
外踝尖(がいかせん)へ自宅でお灸をすえてセルフケアをすることで、左にかたよっていた緊張や張りがやわらぎ、左側頭部にコブのようなコリもやわらかく緩和され、結果として「頭痛」がやわらいでくるでしょう。
「冷えは万病のもと」と言われますが、「ケガは万病のもと」です。
■ 足くびのケガによってさまざまな症状に悩まされます
ねん挫や骨折による、足くびのケガによって、カラダの左右バランスがくずれ、さまざまな症状があらわれるようになります。
・頭痛、不眠
・眼精疲労、視力低下
・首こり、肩こり
・せき、ぜん息
・胸痛、動悸、不整脈
・脇痛
・消化不良、肝胆機能障害
・腰痛、股関節痛
・月経痛、月経不順、子宮筋腫、卵巣のう腫
・ひざ痛、足くび痛
今回のツボ「外踝尖(がいかせん)」以外にも、第4趾(足の薬指)と第5趾(足の小指)の骨のあいだには、このせまい範囲に5つもツボがあります。
・足竅陰(あしきょういん)
・侠渓(きょうけい)
・地五会(ちごえ)
・足臨泣(あしりんきゅう)
・丘墟(きゅうきょ)
それだけ、多くの体調不良と関係があります。
指圧して痛みや気持ち良さを感じるところがあれば、そこへお灸をすえてみましょう。