潰瘍性大腸炎にかかり腹痛と下血で夜も眠れません。
「ネットブログ健康相談会-8」
(ご相談)
今年(2020年)の初め下血が出始め、腹痛の回数が増えました。病院にかかり、潰瘍性大腸炎と診断されました。薬は飲んでいますが、腹痛と下血で、夜眠れません。これまで尿管結石を経験しています。
50歳代・男性
(アドバイス)
■潰瘍性大腸炎について
潰瘍性大腸炎は大腸の粘膜に炎症が起きる病気です。 炎症が起きると、強い腹痛や激しい下痢、血便として症状があらわれます。なぜ炎症が起きるか原因はわかっていません。
免疫の異常が関係していると考えられています。大腸の粘膜に炎症が起きて症状があらわれる「活動期」と、炎症が治まり症状もなくなる「寛解期」を繰り返します。
■免疫の異常とは?
ウイルスや病原菌などの外敵がカラダの中に入ってきたとき、外敵から身を守るはたらきが作動します。簡単に言うと、外敵から身を守る仕組み、はたらきを「免疫」と言います。
外敵を退治するためにつくられるのが「抗体(こうたい)」です。
何を間違えたか、自分自身のタンパク質に対する抗体をつくり、自分自身のカラダを攻撃してしまうことによって起こる病気を「自己免疫疾患(じこめんえきしっかん)」と言います。
今回ご相談いただいた「潰瘍性大腸炎」も自己免疫が原因と考えられています。
■潰瘍性大腸炎の合併症状について
免疫の異常によって引き起こされる症状が多くあらわれます。
・口の炎症(口内炎)
・目の炎症(まぶしく感じる、眼の痛み、視力低下)
・結節性紅斑
※結節とは?・・・えんどう豆からくるみ程度の大きさの「こぶ」「しこり」。
※紅斑とは?・・・毛細血管の充血によって皮膚にできる赤い斑点。
・関節炎
・肝臓の障害(脂肪肝、肝硬変など)
・胆のうの炎症
・貧血(下血による)
■腸管免疫(ちょうかんめんえき)について
細菌やウイルスなどの病原体がカラダの中に入らないよう皮膚、粘膜でバリアをはりめぐらせています。
一方で私たちが生きるためには、食物を食べて胃や腸で消化、吸収して栄養を補給しなかればなりません。
食物にはたくさんの細菌、場合によってはウイルスが含まれていますので、胃や腸の粘膜で栄養を吸収するとともに、細菌、ウイルスと戦わなければなりません。カラダの中へ受け入れる消化吸収と、カラダの外へ排除する免疫とが同じ場所、同じタイミングで行われているのです。
■なぜ炎症を起こすの?
免疫の仕組みによって、病原体を排除するはたらき(攻撃)が作動すると「炎症反応」が起きます。外敵をやっつける時には血液を集めて戦うので「炎症反応」はいたって自然生理的な反応です。
ただし「炎症反応」がいっこうに収まらない状態が続くと、免疫の攻撃性ばかりが活性化してしまい、免疫異常が起きて自分自身を攻撃するようになると考えられています。
バリアである粘膜が弱いと、刺激に対して傷つきやすく、すぐに炎症を起こして腫れてしまいます。 この炎症がなかなか回復しないと過敏になって、免疫の異常が起こる悪循環に陥ります。
腸管の状態を良くしておくこと=「腸管健康」を高めることが大切です
日本では昔から「養生灸(ようじょうきゅう)」と言い、健康を維持、増進するためにお灸が推奨されてきました。
「養生」を調べると「健康に注意し、病気にかからず丈夫でいられるようつとめること」と書かれています。
江戸時代は「いかに健康的な生活を送るか、人生を送るか」に多くの人たちから関心が寄せられ、「養生」という言葉は一般的に使われていました。
この「養生灸」の目的は胃腸を丈夫にすること。
「養生灸」として紹介されたツボは、もちろん胃腸のはたらきを促すもの。
つまり、腸管の粘膜を丈夫にして、食べ物をしっかり消化して栄養をとり、あわせて病原体を退治してカラダに入れないようにしていたのです。
現代はミクロレベルでいろいろなことが解明されてきましたが、昔、先人たちは経験による生活の知恵によって自分たちの生活を守っていたのですね。
「よく食べ」「よく寝る」が健康のあかし。ちなみに、この「よく」は「たくさん」ではなく「質良く」という意味です。
■ツボのご紹介
消化機能を高め、十分な栄養を吸収して、丈夫な胃腸づくりを促すツボをご紹介します。
「大都(だいと)」
足の親指を足裏へ折り曲げてできるシワの親指側です。
「太白(たいはく)」
足の親指を足裏へ折り曲げてできるシワの親指側です。
「尿管結石」をつくりやすい体質改善にもおすすめです。
「足三里(あしさんり)」
ひざのお皿のすぐ下、外側のくぼみに人さし指をおき、指幅4本そろえて小指があたっているところが足三里です。
「 曲池(きょくち)」
手のひらを上にしてヒジを曲げ、内側にできた横じわの上で、親指側の先端です。
「 天枢(てんすう)」
おへその両わき外側へ指幅3本ずれたところです。