生理周期が乱れ、精神的にも不安定になりやすくなってきました。
「ネットブログ健康相談会-5」
(ご相談)
44歳になったとたん、生理の周期が乱れ、精神的にも不安定になりやすくなってきました。ひょっとして更年期の始まりでしょうか?このぐらいの年齢から始めた方が良いケアがありましたら教えて下さい。いつも生理周期は28〜29日ですが、先月は23日でした。生理痛とPMS(月経前症候群)があります。今までに、卵巣嚢腫になったことがあります。現在、薬は飲んでいません。
40歳代・女性
(アドバイス)
生理(月経)周期について
生理が始まった日から次の生理が始まる前日までを生理周期と言います。だいたい28日〜30日であることが多いようですが、個人差も大きく、またさまざまなストレスやカラダの状態によって変動が見られます。おおよそ25日〜38日であれば正常とされます。
女性ホルモンについて
生理周期とは、妊娠の準備のために、女性ホルモンが分泌される量とそのバランスが変化する周期のことです。
女性ホルモンには「エストロゲン」と「プロゲステロン」 があります。
「エストロゲン」は子宮内の血行を良くして子宮内膜を厚くします。
「プロゲステロン」は厚くなった子宮内膜に受精卵が着床しやすい状態します。
女性ホルモン「エストロゲン」の作用は多種多様です
「エストロゲン」は子宮以外にも、健康を維持するために、さまざまなカラダの機能へ作用します。
肝臓:LDLコレステロールが高くならないようにする。
血管:血管を広くして血行をよくする。動脈硬化を抑える。
血液:血液のかたまりができないようにする。
骨: 骨を丈夫にする。
皮膚:肌の皮脂分泌を抑える。コラーゲンをつくる働きをうながし肌質をよくする。
■女性ホルモン「エストロゲン」はココロに影響します
私たちの脳には、ココロの状態に作用する脳内物質と言われるものが100種類以上あります。
代表的なものをあげます。
「ノルアドレナリン」
・緊張・不安・集中力・積極性・思考力に影響します。
ストレスに反応して、自律神経交感神経を活性化して心拍数を上げたり、血液量を増やしたりしてストレスを回避しようとします。
過剰になると:攻撃的になる・イライラする・不安感がある
「ドーパミン」
・意欲・運動・期待感・達成感に影響します。
過剰になると:幻覚を見る・妄想する・依存症になる
「セロトニン」
・安心・リラックス・睡眠に影響します。
アドレナリンとドーパミンの2つが過剰になって暴走しないように、調節しています。
「エストロゲン」が低下する
→「セロトニン」が低下する
→「ノルアドレナリン」と「ドーパミン」の調整ができなくなる
→感情のコントロールができなくなる
■「エストロゲン」の低下による感情不安定について
生理周期の中で「エストロゲン」低下は、排卵後と生理開始前の2回訪れます。いずれも、精神的、身体的にバランスをくずしやすくなる時期です。
排卵後のタイミングで精神的、身体的症状があらわれ、生理が始まるとともに症状が軽くなるものを「月経前症候群(PMS)」と言います。
精神的症状・・・攻撃的になる、イライラする、不安になる など
身体的症状・・・胸の張り、痛み、胃の膨満感、頭痛、むくみ など
「エストロゲン」量の低下だけではなく、「エストロゲン」と「プロゲステロン」のホルモンバランスがくずれることによって、生理周期が変動したり、ココロやカラダの状態に影響したりします。
つねに精神的ストレスがかかるような生活習慣を続けていると、「ノルアドレナリン」の分泌が過剰となり、「セロトニン」の不足と重なると、
・攻撃的になる・イライラする・不安になる・意欲低下・集中力低下・抑うつ感・不眠
などの症状があらわれます。
■「エストロゲン」の低下は睡眠の質へも影響します
「メラトニン」とは、別名「睡眠ホルモン」とも言われ、季節のリズム、睡眠・覚醒リズムやホルモン分泌リズムなどの概日リズム(サーカディアンリズム)の調整作用があります。
「メラトニン」は「セロトニン」から作られますので、「エストロゲン」低下によって、寝つきが悪くなったり、すぐ目が覚めたりするなど睡眠の質が低下します。
■「セロトニン」を増やすセルフケアを
①朝、太陽の光を浴びる
起床後30分以内に「日光」を浴びると網膜から脳を刺激して「セロトニン」分泌を促します。
②リズム運動を繰り返す
ウォーキング、ジョギング、スイミング、サイクリングなど一定のリズムで繰り返し行う運動がおすすめです。室内では「その場足踏み運動」や「腹式呼吸」がおすすめです。
③「セロトニン」を増やす食事をとる
体内で「セロトニン」を作るためには必須アミノ酸「トリプトファン」が必要です。
豆腐、納豆、味噌などの大豆製品やチーズ、ヨーグルトなどの乳製品などに含まれます。
④腸の働きを促す
必須アミノ酸「トリプトファン」は腸から吸収されると脳へ運ばれ「セロトニン」が作られます。腸の働きを促し、消化吸収能力を高めておくことが「セロトニン」を増やす秘訣です。
■お灸によるセルフケアを
お灸では腸の働きを高めるツボがおすすめです。
腸は栄養の消化吸収と同時に,つねに細菌やウイルスなど外敵の侵入にさらされています。腸粘膜は細菌やウイルスに対するバリア機能=免疫組織が発達しています。腸内の免疫組織は腸内細菌の活動とあわせて免疫活動を行なっているため「腸管免疫」と言われています。
腸の働きを高めるツボへお灸をすえることが、つまり、「セロトニン」を増やし、免疫機能を高めることにつながるのです。
「大都(だいと)」
足の親指を足裏へ折り曲げてできるシワの親指側です。
「太白(たいはく)」
足の親指を足裏へ折り曲げてできるシワの親指側です。
消化機能を高め、十分な栄養を吸収し、丈夫なカラダを作ります。
「三陰交(さんいんこう)」
内くるぶしの一番高いところに小指を置き指幅4本上にあります。
腸の働きを高め、月経にともなう諸症状を改善します。
「漏谷(ろうこく)」
三陰交から指幅4本上にあります。
腸の働きを高め、月経にともなう諸症状を改善します。
「地機(ちき)」
陰陵泉からから指幅4本下にあります。
腸の働きを高め、月経にともなう諸症状を改善します。
「 陰陵泉(いんりょうせん)」
膝のお皿から下がったところにある出っぱりを探し、ふくらはぎの内側へ指をずらして骨のキワにあるへこみです。
腸の働きを高め、月経にともなう諸症状を改善します。
「血海(けっかい)」
膝のお皿の内側の角から指幅3本上がったところです。
静脈の流れを良くして、うっ血を改善し子宮や卵巣の炎症をしずめます。