背中のコリがひどいので、お灸で楽になりたいです。週に3回お灸をしています。
「ネットブログ健康相談会-6」
(ご相談)
背中のコリがひどいので、お灸で楽になりたいです。棒温灸(せんねん灸琵琶湖)で週に3回お灸をしています。背中のコリはデスクワーク中心になった2年前から続いています。コリを緩和しようと棒温灸で腎兪、三陰交、承山のツボにお灸をしています。肩コリ、腰痛、むくみ、手足の冷えもあり、よく便秘になります。生理前と生理中に、頭痛、下腹部痛、腰痛があります。橋本病と診断されチラージンを服用中です。
40歳代・女性
(アドバイス)
■デスクワークではPC作業が多く、目をよく使います
パソコンや携帯などのディスプレイ画面のことをVDT(Visual Display Terminal)といいます。VDT作業を長時間続けると眼精疲労になりやすく、そのほかにも様々な症状があらわれ、カラダ、ココロに支障をきたす病気のことをVDT症候群といいます。
■「VDT 症候群」にはどのような症状がありますか?
「目の疲れ・痛み」をトップに、「首や肩のこり・痛み」「腰の疲れ・痛み」「頭痛」「背中の疲れ・痛み」「腕、手、指の疲れ・痛み」「足の疲れ・痛み」など、全身にいろいろな症状がみられます。
■目を使いすぎると全身の筋肉がかたくなり「コリ」が生じる
PC作業中心の仕事をすると、つねにデイスプレイの発光によるストレスにさらされます。そして、細かい文字を読むために、つねに眼球のピントを調節する筋肉が緊張しています。目の筋肉の緊張、筋肉の疲労が起こると、目にとどまらず、全身のあらゆる筋肉がかたくなって「コリ」が生じます。
また、イライラ感や、不安感、憂うつ感などを引き起こすことがあります。
長時間画面を見続けているとまばたきの回数も減るので「ドライアイ」にもなります。目が乾くと少しの刺激でも涙がポロポロ出てくるなど粘膜が過敏になります。
■甲状腺について
ご相談者は、橋本病により甲状腺の機能が低下し薬を服用していらっしゃいます。甲状腺について確認しておきましょう。
甲状腺はのどにあり、甲状腺ホルモンを分泌しています。
甲状腺ホルモンは血液によって全身に運ばれ、カラダを動かすエネルギーを作り出して、さまざまな内臓、器官のはたらきを促します。代表的なものをあげます。
・酸素の消費を活発にして熱を作ります。
・心臓のはたらきを活発にして血液循環を促します。
・脳にはたらきを活発にして判断力や思考力を高めます。
・筋肉のはたらきを活発にして運動機能を高めます。
・腸のはたらきを活発にして栄養の吸収を促します。
・肝臓のはたらきを活発にして血液の浄化作用を促します。
・骨の成長を促します。
■甲状腺の機能が低下すると・・・
甲状腺の機能が低下すると、上にあげた内臓、器官のはたらきがゆるやかになります。そのため、
・さむがりになる。
・脈が遅くなる。
・無気力ななる。
・筋力が低下する。
・食欲がなくなる。
・便秘になる。
・むくみやすくなる。
などの症状があらわれます。
■姿勢がたもてないと「コリ」が生じます
「筋力が低下する」と正しい姿勢を長い時間、保つことができなくなります。
イスに腰かける「座り姿勢」では、腹筋と背筋をほどよく緊張させ、骨盤を立たせ、背筋が伸び、肩を開いて力を抜き、首を立たせてアゴを軽く引いた状態が望ましいです。
デスクワークが増えたことにより、「座り姿勢」でパソコンのディスプレイ画面を見続けるようになります。たいていは、画面に対して「前のめり」姿勢になります。そして、マウスを操作する、キーボードを打つなど単調な作業を続けることで、両肩が閉じて狭くなり、呼吸が浅くなります。つまり「背中が丸い」姿勢です。
「背中が丸い」状態が続くと、腹筋、背筋が弱くなって背中に「コリ」が生じます。腹筋がゆるんだ姿勢ではお腹が圧迫された状態になり、胃腸の運動が滞るようになり、食欲低下、便秘が起きます。
姿勢がくずれ、くずれた姿勢のままカラダがかたまります。
■「コリ」のない姿勢をたもつために
甲状腺ホルモンの分泌低下の影響を受けて、さまざまな内臓、器官の働きがゆるやかになっていますので、お灸をすえてそのはたらきを促しましょう。
筋力を高めて「コリ」のない姿勢をたもつために、
①目の疲れを取る。
②肩の力をぬいて、胸を広げる。
③呼吸を深くする。
④腸の運動をうながす。
⑤筋力を高める。
⑥熱を作り、むくみを改善する。
■ツボのご紹介
①目の疲れを取る。
「太衝(たいしょう)」
足のこうで、第1指(親指)と第2指の骨が交わるところにある、くぼみの中です。
②肩の力をぬいて、胸を広げる。
③呼吸を深くする。
「大陵(だいりょう)」
手のひらを上にして、手首にできる横じわ線上の中央です。
④腸の運動をうながす。
⑤筋力を高める。
「大都(だいと)」
足の親指を足裏へ折り曲げてできるシワの親指側です。
「太白(たいはく)」
足の親指を足裏へ折り曲げてできるシワの親指側です。
消化機能を高め、十分な栄養を吸収し、丈夫なカラダを作ります。
⑥熱を作り、むくみを改善する。
「太渓(たいけい)」
内くるぶしとアキレス腱のあいだのくぼみにあります。
■棒温灸向きのツボのご紹介
「中脘(ちゅうかん)」
カラダの中心線上で、おへそから指幅5本上です。
「期門(きもん)」
乳頭線上で、肋骨のヘリおよびその周辺にあります。
「脊中(せきちゅう)」「脊中(せきちゅう)」「筋縮(きんしゅく)」
肘の高さと背骨が交差するツボを「命門(めいもん)」と言います。
「命門(めいもん)」の左右に「腎兪(じんゆ)」と言います。
「命門(めいもん)」から上へ背骨を2個ずれたとこに「脊中(せきちゅう)」があります。
「脊中(せきちゅう)」から上へ背骨を1個ずれたとこに「中枢(ちゅうすう)」があります。
「中枢(ちゅうすう)」から上へ背骨を1個ずれたとこに「筋縮(きんしゅく)」があります。
「腎兪(じんゆ)」「三陰交(さんいんこう)」「承山(しょうざん)」のツボへのお灸は続けてください。