腰椎すべり症、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症と診断され、歩くと痛くなり疲れます。
「ネットブログ健康相談会-3」
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(ご相談)
昨年の夏ごろ、バレエレッスンの最中、跳ぶとき、太ももの外側の痛みと左お尻からふくらはぎにかけてのしびれがあり、大学病院整形外科で腰椎すべり症(腰椎4番が前に飛び出ている)、腰椎椎間板ヘルニア、脊柱管狭窄症と診断され、保存治療となっております。リハビリの効果もあまりなく、秋から冬にかけて一層痛みがひどくなって間欠跛行が起きるようになりました。バレエは夏に中止してヨガなど軽いストレッチは続けています。お尻の左右外側とお尻の下の部分のこわばりがつらく、歩くと筋肉が冷えてなのか硬く痛くなり疲れます。座っていると痛みはありません。お灸で温めると痛みが楽になるのではないかと思い、お灸の使い方をご指導いただければと思います。
50歳代・女性
(アドバイス)
ジャンプ動作=ケガが起きやすい動作
静止していた状態から急に体を動かす、または、動いている状態から急に止まる。この「急な動作」はカラダへの負担が大きく、ケガが起きる原因のひとつです。
ジャンプ動作では、骨盤を中心に関節のなめらかな動きを生み出す様々な筋肉が協調してはたらきます。
バレエの基本姿勢、動作では、普段の生活で使う「姿勢を安定して保つための筋肉」をさらによく使います。
筋肉のはたらきとは?
筋肉の基本は「伸びてゆるめる」「縮んでかためる」です。
全身の筋肉を調整して「伸び」「縮み」させ、バランスをとりながら姿勢を保ち、カラダを動かしています。
つまり、「伸びたままで縮まない筋肉」もしくは「縮んだままで伸びない筋肉」があると、とたんに姿勢がくずれます。
姿勢がくずれた状態で、カラダを動かし続けていると、動作に「ねじれ」が加わり、関節を支える腱(けん)、靭帯(じんたい)に大きな負担がかかりケガが起きたり、筋肉に大きな負担がかかり肉離れ、筋膜(きんまく)のケガが起きたりします。
成長期の場合は、骨が柔らかく、腱、靭帯、筋肉が急激に収縮して骨がはがれ落ちてしまう骨折(裂離骨折:れつりこっせつ または 剥離骨折:はくりこっせつ)もあります。
なぜケガが起きてしまったのか?
例えば・・・
・発表会間近で練習量が増えていた。
・仕事が忙しくて練習量が少なくなっていた。
・レッスン前(数日〜数時間)いつもとちがうカラダの使い方をした。
・体調がすぐれず疲れていた。
・精神状態がいつもとちがっていた。
・レッスン中考えごとをしていた。
など、ココロとカラダの状態がいつもとちがっていた可能性があります。
カラダに大きなトラブルが起きた時、それまでを振り返ってみると「いつもとちがう」何かが起きていたことがよくあります。
痛みの原因は?
(最初に感じたのは)
①太ももの外側の痛み
②お尻からふくらはぎにかけてのしびれ
(原因を考えてみます)
バレエの基本姿勢は、「股関節外旋+股関節内転筋引きしめ」です。
バレエのレッスン中とありますから、「股関節外旋+股関節内転筋引きしめ」の状態でジャンプされたものと思われます。
「バレエレッスン中のジャンプ」
→股関節外旋筋の疲労による筋膜炎症+股関節内転筋の疲労による筋膜炎症
→大腿筋膜張筋、腸脛靭帯が過度に緊張して痛み
→太もも外側の痛み
「バレエレッスン中のジャンプ」
→股関節外旋筋の疲労による筋膜炎症+股関節内転筋の疲労による筋膜炎症
→坐骨神経圧迫(あっぱく)
→お尻からふくらはぎにかけての冷え感、しびれ
ご相談者は「腰椎4番のすべり症」と診断されました。
痛みを感じた時、急に腰椎がすべったわけではなく、姿勢の癖としてもともと骨盤が後傾していらっしゃったと思います。
骨盤後傾=腸腰筋(ちょうようきん:股関節を曲げる筋肉)がゆるんでいる+ハムストリングが緊張している
ジャンプをした時に起きたトラブル、つまり、
股関節外旋筋の疲労による筋膜炎症+股関節内転筋の疲労による筋膜炎症
→ハムストリング緊張
→「腰椎すべり症」=腰椎4番の前方へのズレが大きくなる
→「椎間板ヘルニア」「腰椎脊柱管狭窄」
→「痛みによる股関節可動域制限」
→ さらに、股関節屈曲筋(腸腰筋)の筋力低下+股関節内転筋の筋力低下
→「腰椎すべり症」「椎間板ヘルニア」「腰椎脊柱管狭窄」悪化
→「臀部のこわばりと冷え」「間欠歩行」
現在、痛みのスパイラルに入り込んでしまっている状態のようです。
「痛み」とココロ、カラダの関係
皆さんは「痛み」を知らなかった頃のこと、覚えていらっしゃるでしょうか。
「痛み」を知らない、「痛み」の経験がない頃、自分の意識はカラダにはありませんでした。「どの筋肉を動かして」「どの関節を動かして」などと、意識したことはありませんでした。
しかし・・・、
いったん「痛み」を感じると、「この部分の」「この筋肉を動かして」「この関節を動かす」と「痛み」を感じる。などと、全神経はカラダに向かい、カラダを意識してばかり。
「カラダを動かす」
→「痛みが起きる」
→「痛みを感じたくない」
→「痛みが起きないようにカラダをかばう」
ココロがカラダの動きをコントロールしていますから、「痛み」を感じるとき、この一連の流れは当然のことですし、誰でも経験することです。
ですが・・・、
→「痛みが起きないようにカラダをかばう」
→「痛みが起きないカラダの使い方ができない」
→「痛みが起きる」
堂々めぐり「痛みのスパイラル」の繰り返しです。
今回のご相談者が「リハビリの効果もあまりなく」とおっしゃっている部分です。
「ツボ」へお灸をして無意識にカラダを変える
つまり、「痛み」の記憶がカラダに刻まれてしまい、カラダ本来の動きを阻害してしまっている状況です。
では、どうすれば良いのでしょうか。
簡単に言えば、「この姿勢をすると」「こう動くと」→「痛い」の思考の流れを断ち切ることです。
ツボにお灸をすると、無意識のうちに伸ばす縮めるという筋肉本来の機能がよみがえり、筋肉の正常な働きによって、無理なくカラダを支えることができるようになり、バランスが改善されます。
カラダを動かさずに、カラダ本来の動かし方を取り戻す方法。そのひとつがお灸です。
深層筋をほぐし、ゆるめるためには
姿勢を保持するための筋肉は、カラダを支える骨に直接ついているのでカラダの表面から直接触れることができません。このような筋肉を「深層筋」と言います。
今回は痛みとしびれの第1原因である深層筋「股関節外旋筋」の炎症とコリをほぐし、ゆるめるツボをご紹介します。
そのツボの多くは「足」にあります。
バレエダンサーの足には大きな負担がかかりますが、ちょっとしたブレがあるだけで支える、筋肉、腱、靭帯には局所的にさらに大きな負荷がかかりカラダを傷める原因ともなります。
足にならんらかのトラブルを抱えながらバレエを続けていらっしゃる方も多く、足の不安定、足の動揺の原因はかつて起きた足のケガが原因であることが多いようです。
・足指をぶつけた
・足くびをひねった
・膝をひねった
など、幼少期、思春期など、忘れないほどの大きなケガはもちろんのこと、記憶に残っていないケガが足の不安定、足の動揺の原因であることも多くみられます。
深層筋をほぐすツボ
まず、お灸をしていただきたいのは「然谷(ねんこく)」のツボです。
股関節、膝関節を曲げて、伸ばしてスクワットをした時、カラダがぶれずに、きれいに体の上下動ができていますか?
スクワットをした時、左右の足底アーチを意識してください。
内側縦アーチ、外側縦アーチ、横アーチにしっかりバランス良くカラダが乗っていますか?
もし、スクワットをした時、カラダがぶれているなら、
・かかと寄りにカラダが乗っている感覚
・内側縦アーチよりも、外側縦アーチへ体が乗っている感覚
など、足裏にバランスの悪さを感じます。
「然谷(ねんこく)」のツボへせんねん灸をすえてみましょう。
(動画を見て探す)https://www.youtube.com/watch?v=gEJdYRGwByo&feature=youtu.be
足底アーチのバランスが改善され、足の不安定、足の動揺が小さくなります。
左右二つの画像A、Bを見比べてください。右足と左足の「然谷」のツボへそれぞれ1点ずつせんねん灸をすえただけで「姿勢を安定して保つための筋肉」の協調性が改善され、骨盤を支えている深層筋の状態が安定し、股関節を深く曲げ、背筋を伸ばすことができるようになりました。
この「然谷」のツボは、足くびをひねるときに最も影響を受けるポイントゆえ、お灸をすえると足の安定につながるのです。
体を動かすのは「筋肉の協調運動」
「痛み」がココロに刻み込まれ、カラダが思うように動かない。そのためにリハビリがうまくいかない。
このような時は、お灸をすえて「無意識」にカラダにはたらきかけ「筋肉の協調運動」を回復させましょう。
足底アーチ=「姿勢を安定して保つための筋肉」のバランスを整えるツボ
「大都(だいと)」もしくは「太白(たいはく)」のツボへせんねん灸をすえてみましょう。
写真は「大都」のツボへせんねん灸をすえています。
(動画を見て探す)https://www.youtube.com/watch?v=OFYa1_NzPjA
足の不安定、足の動揺、「姿勢を安定して保つための筋肉」のアンバランスの原因として、足の指のケガは意外と多いもの。
たとえば、足の指をねじった、ぶつけたなどでねん挫、骨折をした場合、足の甲を左右対称に、同時に指でなでてみましょう。
左右同じところをなでているのに、左右指先の触れ方に違いを感じるところがあれば、ケガの痕跡の可能性があります。お灸をすえてみましょう。
「然谷」のツボも、足くびを「左右対称に、同時に指でなでてみる」と見つけやすいです。
腰椎4番へお灸をしましょう
「臀部のこわばりと冷え」「間欠歩行」も「姿勢を安定して保つための筋肉」の「協調運動」ができるようになってくれば緩和されてきますが、「痛み」のスパイラルから少しでも早く抜け出すために、腰椎4番へお灸をしましょう。
「腰陽関」は骨盤前後の傾きを調整する役割があります。
女性では月経に関連するトラブル、更年期のトラブル、出産に関連するトラブル、婦人科疾患がある場合、この腰椎4番に問題があることがよく見られます。
「腰陽関(こしようかん)」
左右の腸骨上端のラインと背骨とが交わったところです。
頭痛、首、肩が凝り、下半身が冷える場合に。
(動画を見て探す)https://www.youtube.com/watch?v=fPiJMrcwWmk&feature=emb_logo
ツボの位置はあくまで探すときの目安です。
・皮膚にハリがない
・皮膚がたるんでいる
・皮膚がへこんでいる
ところにせんねん灸をすえてみて「あまり熱さを感じない」ところを探してください。