腰痛(腰・お尻・背中の張り)に効果がある、一人でできる方法を教えていただけないでしょうか?
「ネットブログ健康相談会-7」
(ご相談)
昨年12月、スクワットをしていた時、太ももの裏側を傷め、以来ずっと痛みがあります。3週間前から腰痛が出てきました。片道30分、往復60分、歩いた夜中に激痛で眠れないことがありました。整形外科を受診したところ腰椎ヘルニアがあり、薬をもらって飲んでいます。腰痛(腰・お尻・筋・背中の張り)に効果ある、一人でできる、効果ある方法を教えていただけないでしょうか?
服用している薬:ロキソプロフェン、ファモチジン、リリカ、スミルステック、芍薬甘草湯
40歳代・女性
(アドバイス)
■今回の痛みについて
運動中、無理な負荷(ストレス)が筋肉にかかり、組織を傷めてしまうことがあります。
筋肉や筋膜が損傷をして生じる痛みを「筋・筋膜疼痛症候群(きん・きんまくとうつうしょうこうぐん)」と言います。
「筋・筋膜疼痛症候群」の場合、筋肉や筋膜が損傷をした患部の痛みと、損傷を起こした患部の影響を受けて別の部位に生じた痛みとがあります。
筋組織に断裂が生じる「肉離れ」を起こすと激痛で、動かすことすらできなくなることがあります。
今回いただいたご相談では、スクワット時に「太ももの裏側を傷めた」以降も動くことはできていたようですので、 おそらく「筋膜の損傷」によって痛みが生じたものと思われます。
■歩いた後、激しい痛みとなったわけ
3週間前から腰痛を感じ始め、少しずつ悪化されているようです。この腰痛の原因は大きく2通り考えられます。
① 「太ももの裏側の筋膜を傷めた」ことにより、ハムストリングが短縮して、骨盤が後傾するようになった。
→骨盤が後傾したことにより腰椎(腰の背骨)が 背中側へ彎曲して背骨と背骨がせまくなった。
→背骨と背骨の間のクッション(椎間板)を圧迫する力がかかり続け、結果として神経を圧迫する「腰椎椎間板ヘルニア」となった。
→「腰の痛み」「お尻(臀部)の痛み」が起きた。
②「太ももの裏側の筋膜を傷めた」後、 歩行などの運動負荷がかかり続け、なかなか筋膜の炎症が治まらなかった。
→筋膜の炎症を繰り返すうちに「太ももの裏側の筋膜を傷めた」患部が引き金(トリガーポイント)となって「腰の痛み」「お尻(臀部)の痛み」が起きるようになった。
①②の原因が重なるようになって、「夜も眠れないような激痛」となったてしまったことが考えられます。
■痛みの引き金(トリガーポイント)とは?
今回のご相談では、
筋肉、筋膜を傷め、炎症を繰り返し、痛みが慢性化してしまった。
→「筋肉、筋膜を傷めた患部」と「慢性化した痛みによる心的ストレス」が原因となって腰やお尻など別の場所が痛むようになった。
はじめは、患部だったところが、時間の経過とともに別の場所の痛みを引き起こす原因=痛みの引き金(トリガーポイント)となってしまいました。
カラダのあらゆるところが痛みの引き金(トリガーポイント)となりえますし、またココロの状態の変化も痛みの引き金(トリガーポイント)となります。
多くの患者さんを見させていただくと、ほとんどすべての患者さんで、かつて経験したケガのあとがトリガーポイントとなって、別の部位に痛みを起こしている様子が見られます。
ケガの履歴をたどってお灸をしていくと、以外にも痛みが軽くなるポイントが見つかるかもしれません。
■ツボのご紹介
まず、腰痛(腰・お尻・背中の張り)のトリガーポイントとなっている、スクワット時に「太ももの裏側の筋膜を傷めた」患部にお灸をしてみましょう。
背中側のツボへお灸をするときには「火を使わないお灸」がおすすめです。
なお、太ももの皮膚は薄く、熱により赤くなりやすい部位です。30分以内を目安に温めてください。なお、どんな部位であってもシールかぶれ、低温火傷を防ぐために、「熱い」「ピリピリする」「ジンジンする」「かゆい」などの感覚があった場合は、すぐに取り外してください。
次に、参考までに太ももの裏にあるツボをご紹介します。
「承扶(しょうふ)」
太ももとお尻の間にできるシワで、太ももの真ん中にあります。
「殷門(いんもん)」
太ももとお尻の間にできるシワと膝裏のシワの中間にあります。
「浮郄(ふげき)」
膝裏中央やや外側のシワから、親指の幅1本ほど上がったところです。
ツボの位置はあくまで探すときの目安です。
・皮膚にハリがない
・皮膚がたるんでいる
・皮膚がへこんでいる
ところにせんねん灸をすえてみて「あまり熱さを感じない」ところを探してください。
「承山(しょうざん)」
つま先立ちをしてアキレス腱をふくらはぎの方へなで上げていくと、へこみがあります。そこが承山です。
「崑崙(こんろん)」
外くるぶしのすぐ後ろのくぼみの中にあります。
腰椎椎間板ヘルニアが最も起きやすい腰椎4番と5番の間にあるツボ「腰陽関」は骨盤前後の傾きを調整する役割があります。
「腰陽関(こしようかん)」
両手親指を腰骨のきわにあて、そのまま背骨にむかってスライドしていきます。両手親指と背骨があたったところで、背骨と背骨のあいだのへこみが腰陽関です。
「腰陽関(こしようかん)」のツボは、月経に関連するトラブル、出産に関連するトラブル、更年期のトラブルなど女性と深い関係があります。
「腰腿点(ようたいてん)」
腰に痛みがあると、カラダ全体の姿勢にゆがみがあります。
姿勢がゆがみ、バランスをくずしていると、手の甲側の人差し指と中指の骨の付け根、中指と薬指の骨の付け根を指圧すると痛みがあります。
手の甲ですと簡単にお灸をしていただけます。