足のうらがしびれ、痛みます(末梢神経障害)
「お灸の治療とセルフケア-2」
(ご相談)
はだしで床を歩くと砂利(じゃり)の上を歩いているような、しびれと痛みをともなう感覚があります。
70歳代・女性
(経過)
・最初のころは紙が張り付いているような感覚。
・じょじょに感覚が変わってきた。
・冬は足がとても冷え、靴下なしでは眠れないほど。
・整形外科で検査を受けましたが異常は見つかりませんでした。
(既往歴)
・子宮筋腫の手術をした。
・いつもお腹が張っていて、整腸剤を服用している。
・寝付きがわるく睡眠導入剤を服用している。
(その他)
・血糖値は正常範囲内。
・食事は細く、すぐにお腹がいっぱいになってしまう。
・子供のころから胃腸が弱く少食だった。
(所見)
食事をしてもお茶碗いっぱいも食べられないとのこと。
腹診をするとお腹の張りはガスがたまっています。腸の動きが緩慢です。
やせ型で、お肌や筋肉にハリがありません。
仰っているように消化機能が弱く栄養が取れていないようです。
子宮筋腫の開腹手術により内臓の癒着が起きているようです。
開腹手術後、癒着によって腸の動きに滞りが起き、消化不良の原因となっていることがよく見られます。
(「しびれ」ってなんだろう?)
私たちがカラダを動かしたり、「痛い」「熱い」「冷たい」と感じたり、血圧や体温、内臓の働きを調整したりするのは神経があるからです。
神経は、中枢神経(ちゅうすうしんけい)と末梢神経(まっしょうしんけい)に大きく分けられます。
(中枢神経):脳と脊髄(せきずい)からなる神経です。全身に司令を送る神経ネットワークの中心です。
大脳:運動、記憶、思考、感情をコントロールしています。
小脳:運動や平衡感覚をコントロールしています。
間脳:嗅覚を除くすべての感覚線維を中継しています。
延髄:呼吸、心臓の運動をコントロールしています。
(末梢神経):中枢神経から枝のようにカラダ全体へ伸びている神経です。
知覚神経:手で触れる、目で見る、鼻で匂いをかぐ など感覚器の情報を中枢神経へ伝えます。
運動神経:中枢神経からの命令を筋肉へ伝え体を動かします。
自律神経:交感神経と副交感神経がバランスを取って体温、発汗、血圧、呼吸、心拍、胃腸の運動などを無意識に調整しています。
今回、足の裏に感覚の異常があらわれていますので、末梢感覚のうち「感覚神経」にトラブルが生じています。この状態を「末梢神経障害(まっしょうしんけいしょうがい)」と言います。
(足の裏がしびれる「足根管症候群」について)
「砂利(じゃり)の上を歩いているような、痛みをともなう感覚」では、足の内くるぶしの後ろにある「足根管(そっこんかん)」を通る神経(脛骨神経:けいこつしんけい)が圧迫されることで起こることがあります。
足の内くるぶしの後ろには、動脈、静脈、神経がせまい管の中を通っている足根管があります。足首のねんざ、骨折などによる足首の変形、ガングリオンができたり、静脈、動脈が太くなったりして、足根管が狭くなると、足裏、足の指先へ続く神経が圧迫されて、ピリピリする、ジンジンする、足の裏になにか貼り付いた感覚がする、などの知覚異常が起こります。
足のケガ(骨折、ねんざなど)による関節のずれ、骨格などから足根管が狭くなっている方がいらっしゃいます。
日によってしびれが強くなったり弱くなったりする場合は、カラダの「むくみ」によることが多く見られます。「むくみ」が原因で足根管が狭くなり、しびれが起きている場合はお灸をすえることによりしびれが軽減されます。
水を吸収する腸の働き、水を排出する泌尿器のはたらきを高めることで「むくみ」が改善し、結果としてしびれが軽減するのです。
今回の患者さんは整形外科で調べた結果「足根管症候群」ではありませんでした。
(末梢神経障害とは?)
加齢とともに感覚神経や運動神経の機能低下が見られるようになります。
加齢によって、筋肉、血管、神経が「もろく」「弱く」なるからです。
(筋肉):筋肉のハリが失われ、筋肉をつつむ筋膜(きんまく)が傷みやすくなります。筋膜の傷みによってカラダのあちこちに痛みをともなう不調を感じるようになります。
(血管):血管も筋肉の膜によってできていますので弾力がなくなります。動脈では「動脈硬化」。静脈ではい「むくみ」が起きやすくなります。
(神経):神経組織の質が変わったり、密度が減少したりして、神経伝達が遅くなったり、神経線維からまわりの組織に電気がもれたり(漏電)します。
筋肉、血管、神経の状態が複合的に現れた結果、「末梢神経障害」が起こると考えられています。
(末梢神経障害の原因は?)
加齢とあわせて、内臓の機能低下やさまざまな病気を発症することが多くなると、結果として末梢神経障害が起こりやすくなります。
多発神経障害の原因として多く見られるのは・・・
①糖尿病
②アルコール
③栄養障害
④薬の副作用
などです。
①②③④の共通点はすべて「消化器」が関わっていることです。
「しびれ」は、内臓の中でもとくに「消化器」との関係が深いのです。
(セルフケア指導)
お灸による治療で多く経験することは、カラダが持つ「傷んだ組織を修復する力」を助け、促すことです。
開腹手術による癒着も、お灸による温熱で腹部を温めることでお腹の張りがずいぶんやわらぎます。
また、筋膜性の痛みをかかえていらっしゃる患者さまも多く、筋膜の回復にもお灸は大いに助かります。
末梢神経障害の場合も、お灸をすえることで筋肉、血管、神経の修復を促し、結果として「しびれ」が軽減する場合が多く見受けられます。
ツボ①「太白(たいはく)」
足の親指を足裏へ折り曲げてできるシワの親指側です。
「腸」のはたらきを促し、高めるツボです。「消化器」のはたらきを高めて神経障害を緩和するツボです。
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ツボ②「地機(ちき)」
内くるぶしの中心と、膝関節の内側で上下の骨のすき間とを線で結んで3等分し、膝関節のすき間から3分の1下がったところです。
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ツボ③「癒着が起きているところ」
癒着が起きているために、張っていて指で押すと痛みを感じるところを目安にお灸をすえます。
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