鍼灸療法は、白血球を患部に集め、抗体や補体を呼び寄せ、免疫細胞の活性化を促し、免疫反応を改善することによって、免疫力を高めるのに役立ちます。さらに、鍼灸は、免疫細胞の過剰反応を抑制してアレルギー反応を軽減するのにも役立ちます。さらに、血管を拡張し、血行を促進し、血液の質を改善することによって、血液循璃を改善します。

代表的なツボとして、足三里のツボを紹介します。足三里のツボは、免疫を高めるだけでなく、足の疲れを和らげ、膝の痛みを予防するなど、さまざまな効果がある優れたツボです。

また、米粒大の直接灸は、抗生物質が使われる前の日本において結核症に使われていた事が知られており、科学的な動物実験において効果的であると報告されています。現代のアフリカでは感染症であるAIDSや結核の治療にお灸治療が用いられ、足三里へのお灸が症状を改善し、免疫細胞を活性化することが確認されています。研究によると、灸法は結核患者の治療に有効で、薬物療法と組み合わせて使用すると、患者の回復が早く副作用が少ないことがわかりました。

「冷え」は万病の元、気や血のめぐりが悪くなり病気や不調につながります。

①湯船で体温を上げる／お腹を温める

血行改善のツボに灸で芯から温めましょう。

・湧泉

・三陰交

・足三里

・大鐘

原因と症状

今年もまた暑い夏がきました。屋内は寒いほど冷房が効いているのに、外に出れば激烈な暑さ。大きい気温差で、自律神経が乱れ、内臓の働きが鈍り、疲れがたまりやすくなります。

一方、屋内に一日中いると体が冷えて血行が悪くなり、具合が悪くなってしまいます。このように、自律神経に狂いが生じて水分の循環が不良となり、「身体が重だるい」「疲れやすい」「集中力がない」「頭痛」「不快感」「食欲不振」「不眠」等の症状が現れます。

対策

①生活リズムを整える：朝に太陽の光を浴び、しっかりとした睡眠と朝食をきちんととる 　

②バランスの良い食事：たんぱく質、ビタミンＢ群、ミネラルが豊富な食物を摂る 　

③こまめな水分補給：こまめに水分補給 　

④自律神経を整える：適度な運動や入浴（シャワーでなく湯船に浸かる）など

おすすめのツボ

・足三里：膝から指4本分下、スネの外側にある骨のくぼみ。消化・吸収・排泄の調節。

・関元：臍から真下に指4本分さがったところ。元気の源となる

・中脘：身体の正中線上で、直下には胃があるため胃腸の不調に有効

・大椎：首の後ろにあるツボで、免疫力を上げる効果があり、喘息の時にも用いられる

お灸はモグサの薬効と、燃焼させた時の温熱刺激を利用するものです。

モグサは、ヨモギの葉の裏側に生えている腺毛という白い産毛を乾燥させて精製されたものです。この腺毛の油分にはシネオールという成分が多く含まれており、これが薬効を高める役割を担っていると考えられています。

その効果は以下のようなものです。

調整作用：　組織、器官に一定の刺激を与え、減退した機能を興奮させたり、疼痛などを沈静させるなどの機能調整をする

誘導作用：　患部直接または遠隔部に刺激を与え、血管に刺激を与え患部の血流を調整する

鎮静作用：　化学的誘導物質の生成や神経への刺激により鎮静作用を起こさせる

防御作用：　白血球や大貪食細胞などを増殖させ、生体の防御能力を高める

免疫作用：　自律神経を介して免疫機能を向上させる

消炎作用：　白血球の増加、血流改善により生体の防衛能力を高める

転調作用：　自律神経失調症やアレルギー体質を改善して体質を強壮にする

反射作用：　刺激の反射作用により組織臓器の機能を興奮抑制する

さらに灸には以下のような作用も認められています。

増血作用、止血作用、強心作用

コロナ禍は一息ついても、季節性インフルエンザやノロウイルスによる食中毒や感染性胃腸炎は流行の兆しを見せています。手洗いや消毒と共に、ウイルスに負けないように免疫機能を正常に保ちましょう。

ウイルスなどの病原体によりまずは「自然免疫」が働き、それが突破されると今度は病原体を記憶していた抗体による「獲得免疫」が働きます。私たちの免疫の強さとは、自然免疫と獲得免疫の両方を合わせたものです。

免疫機能を高めるには

［1］運動をする

［2］体温を高める

［3］バランスのよい食事と良い腸内環境を心がける

［4］過度のストレスに注意し、自律神経を整える

等が挙げられますが、免疫を増強して身体の中からの感染予防をすることが重要です！

お灸は結核などの細菌やウイルスの感染症予防や感染後の進行を抑えることが期待できます。お勧めのツボを紹介します。

「足三里」■■　ひざのお皿のすぐ下、外側のくぼみに人さし指をおき、指幅4本そろえて小指があたっているところです

「関元」■■　指幅4本をそろえて人さし指をおへそにおき、指があたっているところです

「合谷」■■　親指と人さし指の骨がまじわったところから、やや人さし指よりのへこみです