今から2300年前のおはなし
わかっているだけでも、お灸は今から2000年以上ものあいだ、続けられてきたんだ。
たとえば、紀元前300年前後の書物には「お灸」についての記載があるんだよ。
紀元前300年というと今から2300年前?
歴史が長過ぎてピンとこないけれど、それだけ、人々にとって必要なものだった、ということ?どんなことが書かれているの?
「七年の病に三年の艾を求む」
(しちねんのやまいにさんねんのもぐさをもとむ)
むずかしそう。どんな意味なの?
病気にかかって7年経っても治らない。「もうお灸しかない!」と思い立っても、そこから「もぐさ」を作るためには3年もかかる。
「どんなにいい方法があったとしても、準備をしておかないと、本当に困った時にはどうすることもできない、手遅れになるよ」ということ。
「いつでも次のこと、先のことを考えて準備を怠らないことが大切」というありがたい教えなんだね。
だから、病気にならない毎日の生活、暮らし方が大切。
毎日の生活のつみかさねが、結果として病気の原因になることから「生活習慣病」と言われるけど、関係あるかな?
おっ、いい質問だね!
医療が発達していない、昔であればあるほど、「病気にならない」生活を心がけていたのではないかな。
2300年前でも、生活の備え、暮らしの備えとして「もぐさ」が重宝されていた。
パンデミックになってから、あわてて「もぐさ」を作っていては間に合わないということ。
なるほど、新型コロナウイルス感染症のパンデミックを経験したからこそ、お灸の大切さが注目されているわけなんだ!
苦しい経験を乗り越えるたびに、人間の知恵が残されてきた。
2300年以上もの長いあいだ、人間の知恵として受け継がれてきたのがお灸なんだね。